大鏡のあらすじを3分でわかりやすく解説!

1.大鏡の基本情報

『大鏡』は平安時代後期から鎌倉時代初期にかけて成立した歴史物語で、具体的な作者名は伝わっておらず、成立年も明確ではありませんが、12世紀末から13世紀初頭と推測されています。

本作は、「桓武天皇」から「鳥羽天皇」に至る五代の皇族や貴族の逸話を集成しており、特に人物の心情や倫理観を重視した内容が特徴です。印象的なエピソードの一つに、後白河法皇が死後、自らが作った法話集「法然上人誄」を朗読させる場面があります。

これは、法然の信仰とその教えの重要性を示すと共に、後白河法皇の深い仏教への信仰心を浮かび上がらせるエピソードとして知られています。『大鏡』は、政治的な背景だけでなく、人間の心理や倫理を描いた点で、日本古典文学において特に重要な作品の一つとされています。

2.大鏡の主な登場人物

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  • 源頼光:平安時代を代表する武将で、「大鏡」においてもその武勇や豪傑ぶりが描かれています。四天王として知られる強力な部下を持ち、鬼退治などの英雄的な活躍で知られています。また、政治面でも影響力を持つ。
  • 坂上田村麻呂:坂上田村麻呂は、延暦時代の武将であり、辺境防衛に尽力したことが「大鏡」に描かれています。東北地方の蝦夷と戦い、その勇猛さと政治力で国の安定に寄与しました。また、武人としてだけでなく学識もあった人物。
  • 菅原道真:平安時代の学者であり政治家。文学と学問に優れ、特に漢詩で高名ですが、「大鏡」では、その政治的な活躍や遣唐使廃止論争の中での役割が描かれている。朝廷内の権力闘争に巻き込まれ、太宰府へと流された。
  • 藤原道長:平安時代中期の最有力者で、「大鏡」ではその権力の絶頂期が描かれています。実質的に朝政を掌握し、四条天皇の母方の祖父として政治の中枢で活躍。摂政・関白として政治を動かし、藤原氏の全盛期を築いた。
  • 源義家:平安時代の武将で、「大鏡」においてはその軍事的な活躍が記されています。奥州征伐など北方の安定に大きな役割を果たし、後三年の役では源氏の威信を高める。宮廷や地方の両方における影響力が伝えられています。

3.大鏡のあらすじ

大鏡は、平安時代後期から鎌倉時代初期にかけて成立した歴史物語であり、作者は不詳です。この作品は、日本の古代から中世初期にかけての政治的・社会的出来事を、歴史上の人物を通して描いています。大鏡は様々なエピソードによって構成されていますが、特に注目すべき3つの章に分けて概要を紹介します。

第1章」:源 義家が平治の乱を鎮圧する過程を描く
この章では、源義家が武士としての地位を確立し、平治の乱を鎮圧する過程を中心に描かれます。平安時代末期の紛争である平治の乱は、武士の時代の幕開けを象徴する出来事であり、源義家の活躍が克明に描写されています。

第2章」:後白河法皇が院政を展開する中での貴族社会の変動
この章は、院政を行っていた後白河法皇の周りで起こる貴族社会の変動を描いています。後白河法皇は、政治の舞台裏で巧みに権力を操作し、貴族たちの間の複雑な人間関係や権力争いが詳細に語られます。

第3章」:保元の乱を通じて見る武家と院政のせめぎ合い
最終章では、保元の乱を中心に、武家と院政の間の権力争いを描きます。この乱を通じて、武士階級の台頭とそれに対する院政の対応が、政治的な駆け引きと共に詳細に表現されます。

以上が大鏡の大まかなあらすじであり、これらの章を通じて、平安時代から鎌倉時代にかけての社会の変化や人々の思惑が生き生きと描かれています。

4.の感想・教訓

大鏡は、日本の中古文学において、貴族社会の実像や政治的動向を洞察力豊かに描写した作品であり、「平家物語」と同様、その時代の歴史的背景を理解する上で非常に貴重な資料です。
個人的に「平家物語」を読んで感じた人間の儚さや運命の移ろいやすさが、「大鏡」を通しても垣間見え、時代や地位を超えた普遍性に気づかされます。

「大鏡」から学べる教訓は、権力や名声がいかに移り変わりやすいものか、そしてその中で大切なのは、人としての品格や道徳心を保つことであるという点です。

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