1.竹取物語の基本情報
『竹取物語』は、平安時代に成立した日本最古の物語文学であり、作者は不詳です。
この物語は、竹中から出現した美しい女性「かぐや姫」の生涯と、彼女に求婚する貴族たちのエピソード、そして月に帰るという結末を描いています。
かぐや姫に結婚を申し込む貴族たちが出してきた難題を解決しようとするシーンは特に有名です。
また、かぐや姫が地上の人々との別れを惜しみながらも、月へ帰る場面は物語の中でも特に感動的なエピソードとして知られています。
発行年については正確な記録は残っていませんが、10世紀前後に成立したと考えられております。
『竹取物語』は、日本の文学史上非常に重要な位置を占める作品であり,後の物語や芸能に幅広い影響を与え続けています。
2.竹取物語の主な登場人物
- [原文]
- 翁：物語の冒頭に登場するかぐや姫を見つけた竹取の翁です。彼は竹から光を発し、その中からかぐや姫を見つけます。竹取の翁は、単なる老人ではなく、かぐや姫の育ての親として彼女を大切に育て上げる重要な役割を担います。社会的地位としては一見してただの老人に見えますが、物語を通じて翁の家はかぐや姫のおかげで豊かさを得て、彼の地位も向上していきます。
- かぐや姫：物語の主人公で、月から送られたとされる美しい少女です。月の使者だという謎に包まれた出自を持ち、地上で翁夫婦によって育てられます。彼女の美貌はやがて多くの貴族たちの耳に届き、数多くの求婚者が現れますが、彼女はそれらを巧みに退け、最終的には故郷である月に帰っていきます。社会的地位は、地上では高貴な貴族たちと結びつけられるほどの美しさと高貴さを持つ女性です。
- 大臣：かぐや姫に求婚する貴族たちの中でも特に高い地位を持つ人物です。彼は多くの貴族の中でも上位に位置しており、かぐや姫に求婚する際にはある重要な品を求められます。地位も高く、当時の社会では重要な役職に就いていることが伺えます。しかし、かぐや姫の要求する難題をクリアすることはできませんでした。物語では、彼の地位やかぐや姫への強い思いが、彼のキャラクターを際立たせています。
- 軍記：かぐや姫に求婚した貴族の一人で、彼女が出した難題の一つである火鼠の皮衣を手に入れる任務を負います。軍記は、特に武勇に優れる貴族として描かれており、その勇敢さや冒険心は彼の社会的地位や物語における役割を象徴しています。しかし、彼もまたかぐや姫が出した試練を乗り越えることができず、彼女と結ばれることはありませんでした。
- 仙人：物語の終盤に登場する、かぐや姫を月へ帰す役目を担う神秘的な存在です。仙人は、かぐや姫の真の出自と彼女が地上にいた理由を明かし、彼女の帰還を手助けします。社会的地位としては、この世のものとは異なる、神聖な存在として描かれており、物語の展開に大きな影響を与えます。仙人の存在は、物語における霊的な要素を強調し、かぐや姫の運命に深い意味を与えています。
3.竹取物語のあらすじ
第1章: 竹の中の姫君
ある日、竹を切っていた翁が輝く竹の中から、美しい小さな女の子を見つけます。この子は後に「かぐや姫」と名付けられ、翁と妻に育てられます。
かぐや姫はあっという間に大人の美しい女性へと成長し、その美しさは遠方まで広がります。多くの貴族がかぐや姫のもとを訪れ、彼女の愛を勝ち取ろうとしますが、かぐや姫はそれぞれの求婚者に難題を出してその願いを断ります。
翁の家はかぐや姫のおかげで大きな富と名声を得る一方で、かぐや姫自身は月を見るたびにふさぎ込むようになります.
第2章: 月からの使者
かぐや姫の美しさと難題を克服しようとする求婚者たちの話はますます高まる中、かぐや姫は自身の出自と運命を明らかにします。彼女は実は月の国から来た姫であり、地上での一時的な滞在が終わりに近づいていることを翁と妻に伝えます。
この告白は二人を大いに悲しませ、かぐや姫自身も地上での生活に愛着を感じ、月への帰還を渋ります。
しかし、月の使者が彼女を迎えに来る日は刻一刻と近づいており、かぐや姫もまた、避けられない別れの時が来ることを悟り始めます.
第3章: 別れの時
月の国からの使者がついに到着し、かぐや姫は地上の家族との別れを迎えます。翁と妻はかぐや姫を手放したくないと願いますが、月の使者には逆らえません。
かぐや姫は翁と妻に感謝の言葉を述べ、地上での美しい記憶を胸に月へと帰っていきます。
彼女が去った後、翁と妻は深い悲しみに暮れますが、かぐや姫が地上で過ごした時間の美しい思い出を大切にします。
かぐや姫が残した宝物や教訓は、後世まで語り継がれ、彼女の物語は美しい愛と切ない別れの象徴として人々の心に残ります.
4.竹取物語の感想・教訓
[原文]竹取物語は、日本最古の物語文学としてその美しい文体と独特の世界観に魅了されます。かぐや姫の神秘的な出自とその運命、繰り広げられる竹取の翁とかぐや姫の愛情、そして月への帰還という幻想的な展開は、現代にも通じる普遍的なテーマを持っています。さらに、貴族社会の風習や価値観が織り込まれ、その時代背景を垣間見ることができるのも魅力の一つです。この物語を通じ、人間の欲望、愛と別離、そして生命の尊さについて深く考えさせられました。
教訓としては、「この世のすべては儚い」という無常感を強く感じさせます。かぐや姫のひとときの地上での生活とその終わり、そして彼女を取り巻く人々の運命は、私たちに時間の価値と、現在を大切に生きるべきことを教えてくれます。
